大腸ポリープ切除

大腸ポリープの内視鏡による切除方法

当院の大腸ポリープの内視鏡治療の特徴

  1. 原則、1回目の検査の際に、切除の必要なポリープはそのまま内視鏡的切除術に移行して日帰り手術を行います。 いまだに多くの医療施設では、入院が必要だったり、最初に大腸内視鏡検査のみを行ってから、再度手術を行う施設も多いですが、当院は1回の検査で治療を完結させます。

  2. 当院では日帰り手術を原則とし、しかも検査時に発見次第切除します。そのためには正確な診断が瞬時に必要です。当院では全スコープをNBI拡大内視鏡を使用していますので、瞬時に診断して必要な病変のみを切除しています。NBI拡大観察にて切除しても良い病変(腺種、粘膜内癌)か切除が不要な病変(過形成ポリープ)を見分けて必要なポリープのみ切除します。また癌でも粘膜内または粘膜下層浅層(微小浸潤癌)までが内視鏡的手術の範囲内ですが、それ以上深い病変は外科手術が必用ですが、それもNBI拡大内視鏡で観察してその場で診断して日帰り手術を決めます。

  3. 当院では、3cmまでの病変を下記の方法を選択し、適切に治療します。ただし3cm以内でも粘膜深層への浸潤癌や、特殊な場所や、形態の場合、3cm以上では、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が必要と判断された場合は、入院での治療が必要ですので、当院では、がん研有明病院、国立がん研究センター東病院など高度がん専門医療施設と密に連携していますので、シームレスにご紹介して治療を行います。

電気で通電するスネアポリペクトミー

従来から行われてきた内視鏡治療方法です。隆起型、有茎性のポリープが対象です。スネアを用いて、ポリープの根元を確実に絞扼し、当院ではエルベ社のVIO200という高性能の高周波装置(電気メス)で、凝固波や、エンドカットモードで、安全に通電し、切除します。切除痕は、白濁した粘膜となり出血はしませんが、まれに切除直後に出血することもありますが、すぐに止血クリップを用いて止血処置をします。また当院は日帰り手術のため、万全を期して、出血していなくても、予防的に止血クリップを用いることで、帰宅後の後出血や遅発性穿孔のリスクを限りなく少なくしています。

スネアポリペクトミー症例

①通電ポリペク通常光像

①通電ポリペク通常光像

②通電ポリペクNBI像

②通電ポリペクNBI像

③通電ポリペクNBI拡大像

③通電ポリペクNBI拡大像

④通電ポリペク スネアリング(通電中)

④通電ポリペク スネアリング(通電中)

⑤通電ポリペク切除後

⑤通電ポリペク切除後

⑥通電ポリペククリッピング後

⑥通電ポリペククリッピング後

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

平坦隆起型または陥凹性の病変(0-Ⅱc)、有茎性病変でも悪性を疑う一部病変に適応します。生理食塩水で粘膜下層に針で 注入して病変を盛り上げて、スネア(ワイヤー)を使用して病変のある粘膜のみを電気で通電してスネアで焼き切りながら切 除します。手技としては一番難しい方法ですが当院では3cmまではこの方法で切除しています。また日帰り手術のため予防的 に止血クリップを使用して原則、完全に傷口を縫合しています。
この手技の成否にはより高度な技術と偶発症を起こさないためにも性能の良い電気メスが必要ですが、当院では安全に通電し て切除するために最新の高周波装置(電気メス)であるエルベ社のVIO200を使用しています。

EMR症例①

S状結腸に存在する15mm大のIsp型ポリープ。 NBI拡大観察では、JNET分類2Bと診断 し、粘膜内癌と診断。周囲に白斑もあり、隆起型ですが、病理的な評価と根治度をあげる ため、充分なマージンを取り病変を切除するために、通電ポリペクトミーではなく、EMR を選択した。

白色光内視鏡像

①白色光内視鏡像

NBI非拡大像

②NBI非拡大像

NBI拡大像 (JNET2B)

③NBI拡大像 (JNET2B)

EMR局注後

④EMR局注後

スネアリング

⑤スネアリング

スネアに切開波で通電切除中

⑥スネアに切開波で通電切除中

EMR切除後

⑦EMR切除後

EMRクリップ縫縮後

⑧EMRクリップ縫縮後

切除後病変の回収

⑨切除後病変の回収


病理診断 S状結腸 0-Isp 16mm×15mm Adenocarcinoma with adenoma pTis (M), ly0 ,v0 ,HM0 ,VM0 (早期大腸癌 粘膜内癌 脈管・リンパ管侵襲なく治癒切除)

EMR症例②

白色光内視鏡像

①白色光内視鏡像

インジゴ色素散布像

②インジゴ色素散布像

NBI非拡大像

③NBI非拡大像

NBI拡大像 (JNET2B)

④NBI拡大像 (JNET2B)

EMR局注後

⑤EMR局注後

EMR切除後

⑥EMR切除後

EMRクリップ縫合開始

⑦EMRクリップ縫合開始

EMRクリップ縫縮後

⑧EMRクリップ縫縮後

EMR回収像

⑨EMR回収像


病理診断 S状結腸 0-Ⅱa 25mm×23mm adenocarcinoma(tub1) with adenoma pT1a(SM:300μm), ly0 ,v0 ,HM0 ,VM0 (早期大腸癌 浸潤距離0.3mmの粘膜下層浅層の浸潤癌 脈管・リンパ管侵襲なく治癒切除)

コールドポリペクトミー:電気メスを使わないポリペクトミー

スネアマスタープラスポリープ切除に伴う偶発症には「出血」と「穿孔(切除した傷が広がり腸壁に穴が開くこと)」があります。 特に、頻度の多いのは術後に起こる後出血で、切除後、数日してから仕事中、旅行中などに起こるため、食 事・運動・労働の制限があり、患者さんの負担が大きくなります。腫瘍を取り残すことなく偶発症ゼロで完 全に切除する方法は無いか?この解決を求めいくつかの方法が試行されてきました。
そして近年、欧米から始まり、日本でも充分な臨床治療効果が検証され主流になっているのが電気メスを使 わずにスネア(ワイヤー)で「皮一枚をはぎ取るように」粘膜を切除する方法がコールド・ポリペクトミー です。
この手技では「血液を固まり難くする薬:抗血小板薬」を服用している方でも後出血の危険が極めて低いと 報告されています。コールド法では「取り残し」を防ぐために病変を囲むように広く大きく切除します。傷 は「広く浅く」なります。「生切り」なので、当然、切除時は出血します。しかし、出血は数分で止まり、 後出血は、まずありません。ポリープ(腺腫)は粘膜に限局した病変であり、粘膜を切除すれば根治できる。 そして粘膜のレベルの「なま傷」は、大きくても治癒が早く重大なトラブルを起こさない。という事実がこ の手技の理論的根拠になっています。対象とする病変は、10mmまでの腺腫と確定出来るポリープに限られ ますが、ポリープの90%以上が10mm以下の腺腫の状態で発見されるため、この手技の恩恵はとても大きな ものです。当院では、拡大内視鏡観察を併用し、確実に腺腫であることを診断できるため、適切な治療が可 能となっています。
当院では「コールド法専用に開発された切除器具」の一つであるオリンパス社製「 Snare Master Plus」を使 用しています。

コールドポリペクトミー症例①

①病変

①病変

②コールドポリペクトミー専用スネア

②コールドポリペクトミー専用スネア

③スネアリング(無通電)

③スネアリング(無通電)

④切除直後(少量の血液が出ています)

④切除直後(少量の血液が出ています)

⑤切除後(高圧ジェット水流で止血を確認します)

⑤切除後(高圧ジェット水流で止血を確認します)

切除後NBI

⑥切除後NBI拡大で遺残の確認

コールドポリペクトミー症例②

通常光像

①通常光像

②NBI拡大像

②NBI拡大像

NBI拡大像その2

③NBI拡大像その2

切除直後

④切除直後(少量の血液がにじんでいます)

止血

⑤高圧水流で止血を確認します

 

コールドポリペクトミー症例③

病変

①病変

切除後の傷口

②切除後の傷口です

NBI拡大内視鏡で遺残がないか確認

③NBI拡大内視鏡で遺残がないか確認します

大腸ポリープの内視鏡切除で起こる可能性がある合併症について

大腸ポリープの内視鏡切除では、切除からある程度の時間が経過してから出血や腸壁に穴が開く穿孔といった深刻な合併症を起こす可能性があります。最もリスクが高いのは切除後数日間で、1週間以上経過したら起こる確率がどんどん下がっていて0%に近づいていきます。こうした出血や穿孔という合併症を生じる可能性はゼロにすることはできませんが、いくつかの注意点を守ることで発症の確率を下げることができます。また万が一、後出血などの偶発症が起きた時も手術後帰宅しても、24時間対応できるように専用の電話回線をご案内し、症状を伺い、必要ならば深夜でも内視鏡的止血術を行うことができる体制を整備しています。当院は、安全な日帰り手術を提供しています。

大腸ポリープ切除費用

当院の内視鏡検査の費用は以下の通りです。(保険診療ですから日本どこでも同じ値段です。)
保険3割負担の方の費用の目安です。
1割負担の方はこの費用の約1/3とお考えください。

内訳 金額
診察料・血液検査・使用薬剤料他 約2,300円-4,800円
大腸ポリープ切除「2cm未満の場合」 約15,000円
大腸ポリープ切除「2cm以上の場合」 約21,000円
病理組織検査(1臓器につき) 約4,000円

※ポリープの数や大きさで、費用に差がでますが、3割負担の方で約17,000円-30,000円の範囲とお考えください。

ポリープ切除後の注意点

ポリープ切除後の1週間は、出血・穿孔を起こす可能性があります。それを防ぐためにも、ある程度の生活制限を守っていただく必要があります。下記に一般的な制限内容をご紹介していますが、制限には治療内容や個人差がありますので、深刻な合併症を防ぐためにも医師の指示をお守りください。

飲酒について

飲酒で血流が促進されると出血リスクが上昇するため、通電治療を行った場合のみ術後の1週間は大量の飲酒を控えてください。通常の晩酌程度の飲酒やノンアルコールビールなどアルコールを含んでいないものは飲んでも構いません。

腹圧のかかる運動・動作・姿勢

デスクワークや通常の家事程度でしたら当日から可能ですが、腹圧のかかる激しい運動(例:テニスやゴルフなど。ウォーキングなどは全く問題ありません)、力仕事(重たいものを持つなど)は、術後1週間程度は避けてください。

長距離移動、出張・旅行

長時間の運転や、出張・旅行は基本的に問題はありませんが、通電が必要な大きな病変の場合万が一の事もあり1週間程度は余裕をもって予定を開けておいてください。

入浴

コールドポリペクトミーの場合は全く制限はありませんが、通電の治療の際は、当日は軽くシャワーを浴びる程度にとどめ、翌日からは入浴も可能です。ただし、1週間程度は長風呂をしないようにしてください。

食事

基本的には、よほど非日常な食事(激辛カレー、アジア料理など香辛料のきついものなど)でない限り制限はありません。当日の夕食用として、検査後食もご用意できますのでご希望がありましたらご相談ください。

すぐにご連絡ください

腹痛、血便、発熱などの症状が起こった場合には、すぐにご連絡ください。当院は24時間連絡が取れるように常に専用の電話回線をお教えしています。

検査スケジュールを立てる前に

検査日を決める際には、検査中に大腸ポリープ切除を行う可能性があることをあらかじめ考慮して決めてください。検査日から1週間程度は、会食・出張・旅行・長距離移動の予定をいれずにスケジュールを立てることで、無理なく制限を守ることができます。

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